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祝辞

株式会社島津製作所 代表取締役 社長

山本 靖則

京都大学化学研究所 創立100周年に寄せて

 京都大学化学研究所 創立100周年、誠におめでとうございます。

この記念すべき節目にあたり、株式会社島津製作所を代表し、心よりのお祝いを申し上げますとともに、長年にわたり我が国の学術と科学技術の発展を牽引してこられました貴研究所のご功績に、深く敬意を表します。

 

 貴研究所は、1926年の創設以来、化学を基盤とする学理の深化と学際的な研究展開を通じて、数々の革新的成果を創出されてこられました。その成果は、基礎科学の枠を超え、材料、生命科学、環境といった幅広い領域において社会実装へと結びつき、日本の科学技術の進化に大きく寄与されておられます。

 

 弊社もまた京都の地において、創業以来150年余り、社会への貢献を目指して科学技術を基盤としたものづくりを続け、特に分析計測分野においては、研究者の皆様の最先端の挑戦を支えるべく、技術革新を重ねてまいりました。

 

 京都大学、そして化学研究所との関係におきましては、長年にわたり深い交流を重ねてまいりました。例えば、分析機器の高度化や新規計測技術の開発において、貴研究所の先生方との共同研究や技術的な知見の共有を通じ、多くの成果を生み出してきております。

 

 私どもの過去の周年史を紐解きますと、

 

 『昭和24年(1949)10月から京都大学化学研究所水渡研究室の指導を得て…まず沈降法による粒度測定器を開発し、その後、空気透過法による比表面積測定装置の開発を行った。当社における自動粒度測定器の生産は、昭和25年(1950)6月…沈降曲線を時計ドラムに自動測定する自動粒度測定器(特許192022号)を完成し、京都大学化学研究所水渡研究室に納入したのが最初である・・・』

 

 『昭和初期、わが国においても高分子化学研究者の間で「光散乱光度計」への関心が高まり、装置の研究が昭和25年ごろから京都大学化学研究所の稲垣博教授らによって始められた…昭和30年(1955)はじめ、稲垣教授から当社に対し、本格的な光散乱光度計の開発の依頼があり…昭和31年(1961)3月当社独自のデザインによる光散乱光度計の試作に成功し、商品化した…以来10年間、百数十台が当社独自の商品として無競争で販売され、科学器械工場の主製品のひとつとなった。』

 

 『当社では昭和31年(1956)9月以来、本格的な国産ガスクロマトグラフの開発研究に力を注いでいたが、当時すでに手製のガスクロマトグラフを使っておられた京都大学化学研究所竹崎嘉真教授の指導をも得て、昭和32年初めに商品化のメドをつけるところまでこぎつけた。』

 

といったように、貴研究所とのつながりを示す古くからの記録が数多く見られます。

 

 こうした取り組みは、単なる産学連携の枠を超え、基礎研究の成果を社会価値へと昇華させる上で重要な役割を果たしてきたものと思います。また、貴研究所の自由闊達な研究風土から生まれる独創的な発想は、我々企業にとっても大きな刺激となってまいりました。

 

 現在、カーボンニュートラル社会の実現、ライフサイエンスの飛躍的進展、さらにはデータサイエンスとの融合など、科学技術を取り巻く環境は大きく変化しております。このような時代には、貴研究所が担われる基礎科学の役割が従来以上に重要性を増すものと確信いたします。

 弊社といたしましても、これまでの協働の歩みを礎に、今まで以上に貴研究所との連携を深化させ、科学技術の進歩と社会課題の解決に貢献してまいる所存でございます。

 

 最後になりますが、京都大学化学研究所の次の100年に向けたさらなるご発展と、関係各位のご健勝とご活躍を心より祈念申し上げ、祝辞とさせていただきます。
 


 

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