top of page
堀場厚会長-写真web.jpg

祝辞

株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO

堀場 厚

京都大学化学研究所 創立100周年に寄せて

 この度、京都大学化学研究所が創立100周年を迎えられますこと、心よりお祝い申し上げます。歴代の先生方をはじめ、関係者の皆様のたゆまぬ努力の賜物とご功績に深く敬意を表します。

 私の祖父・堀場信吉は、京都帝国大学にて物理化学を学び、京都帝国大学の理学部長を務めました。化学研究所の設立にあたっては、当時の荒木寅三郎総長と共に文部省へ予算請求を行うなど、設立当初から研究所運営に関わりました*1)。1942年には化学研究所第三代所長を拝命し、積極的な国際交流や人材育成、社会課題の解決に向けた取り組みを推進しました。また、高槻の実験工場新設にも尽力し、基礎研究にとどまらず、医工や産学連携の推進、医薬品・化学品の開発など、研究所の運営体制を強化し、社会発展に寄与しました。さらに、音楽への造詣も深かった堀場信吉は京都市立音楽短期大学(現・京都市立芸術大学音楽学部)の学長に就任し、斬新な発想と多彩な取り組みを通して人々の共感を集め、激動の時代に足跡を残すことができました。

 また、私の父である堀場雅夫は京都帝国大学理学部の荒勝文策教授(化学研究所兼任)のもとで学び、大学在学中に学生ベンチャーとして堀場無線研究所を設立、のちに堀場製作所を創業しました。当時、肥料生産において不可欠であったpHメーターの開発を実現できたのは、京都大学の西朋太先生、岡田辰三先生の多大なるご指導とご助言の賜物であり、堀場製作所の歩みを強く支える礎となりました。

 このように、堀場製作所は京都大学そして化学研究所との深い連携のもとで生まれ、育まれてまいりました。現在も京都大学と共に研究支援プロジェクト「HONMAMON共創研究」を進めております。私自身も、京都大学第26代総長の山極壽一先生と構想を共にし、京都・奈良の9大学と京都の8企業が連携して次世代の人材育成とイノベーション創出を目的とする「京都クオリアフォーラム」を立ち上げました。京都大学そして化学研究所の存在は、我々京都企業のみならず日本、そして世界の科学技術の発展と豊かで持続的な社会を実現するために必要不可欠な礎であり、今後も産学官それぞれの連携を大切にしてまいりたいと存じます。

 改めまして、貴研究所の創立100周年を心よりお祝い申しあげますとともに、今後ますますのご発展と、皆様のご健勝を心よりお祈り申しあげます。

 

 

 【参考文献】
  
1)「生命を科学するー堀場信吉先生遺稿集―」


 


 

bottom of page