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祝辞

京都大学総長

湊 長博

京都大学化学研究所 創立100周年に寄せて

 京都大学化学研究所が、創立100周年という記念すべき節目を迎えられるにあたり、全学を代表して心よりお祝い申し上げます。

 京都大学は、1897年(明治30年)の創立以来130年近くの歴史を誇る総合大学であり、10学部と18大学院研究科を有していますが、これに加えて、18にも及ぶ全国的にも群を抜いて多くの附置研究所・センターを擁しています。中でも化学研究所は、1926年(大正15年)に開設された京都大学で最も歴史のある附置研究所であり、「化学に関する特殊事項の学理及び応用の研究」という設立理念の下、基礎から応用に亘り時代の先端を拓く多彩な研究を展開され、素晴らしい成果を挙げてこられました。また、理学、工学、医学、薬学をはじめとする多様な学術分野との連携を深め、最先端の研究環境を活かした若手研究者の養成ならびに大学院生への教育・研究指導を行い、創造性豊かな人材育成にも寄与されています。

 2018年度(平成30年度)には、京都大学化学研究所が文部科学省「化学関連分野の深化・連携を基軸とする先端・学際グローバル研究拠点」として、国際共同利用・共同研究拠点に認可されました。これにより、国内外から多数の研究者が集い、先鋭的基礎研究を進展させるとともに、国際学術ネットワークの充実と学問の新たな潮流の開拓を牽引するという重要な役割も担ってきておられます。

 化学領域は京都大学が誇る重要な先端研究分野のひとつであり、これは1981年(昭和56年)の福井謙一先生に始まり、2001年(平成13年)の野依良治先生、2019年(令和元年)の吉野彰先生と、本学から実に3名のノーベル化学賞受賞者が輩出されているという事実からも明らかです。これらの世界的な業績に共通するのは、極めて先駆的な基礎研究をもとに、社会を大きく変革する新しい知的価値を創出してきたことにあり、100年に及ぶ本学化学研究所の歴史は、この京都大学の研究理念の醸成に大きな貢献をされてきたことは疑いを入れません。

 化学研究所が、長きに亘り独創的な知の創造による社会変革への貢献という京都大学の伝統を継承し、優れた教育研究活動を推進してこられたことに改めて敬意を表するとともに、これからの100年に向けて、我が国と世界の持続可能な未来社会の実現を目指し、本学の理念である「地球社会の調和ある共存」に向けて、より一層の貢献を果たしていかれることを祈念して、私の挨拶に代えさせていただきます。


 


 

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